「ナイト・ウォッチ」(DVD)
先週は「あばれ祭」見物で映画を見にいけなかったから、という訳でもないが、つい「ナイトウォッチ」のDVDを買ってしまった。価格は3,990円。こないだから2,980円の「シン・シティ」のDVDを買おうか買うまいか随分迷っていたのだが、こいつはサクッと買ってしまった。「シン・シティ」も圧倒的に面白そうだが、こちらはなんたってロシア映画で、しかもエンターテイメント。ロシアや旧ソ連の芸術映画や文芸映画は、ミニシアターでたまにやっているけど、エンターテイメントはやらないし、ロシアでは歴代興行1位ということで、まあ、面白さは二の次で好奇心に負けちゃいました。
で、見てみると、かなり面白い。本編、オマケDVD、本編(監督の解説)と3日連続で見入ってしまった。
特に私のツボにはまったのは、アメリカ映画と微妙に違うという点。作りはアメリカっぽいんだけど、やっぱりアメリカ映画とテイストが違う。現代社会の裏側でバンパイアなんかが抗争しているという設定やCGを多用した映像は「ブレイド」3部作なんかを思い出すのだけれど「ナイト・ウォッチ」のほうが、よりウェットで叙情的な感じだ。笑いという点でも「ナイト・ウォッチ」では、そこはかとないユーモアを随所に散りばめてあって、ストレートなアメリカ映画とは一味違う。
また、背景となるモスクワの街の様子も面白い。アパートなんかにしても、築数十年みたいな感じの荒れ具合でちょっと貧しげである。大体が光の勢力の王からして、「光公社」(表向きは電気関係?)の社長なのだがオフィスは質素な感じだし、後ろでは扇風機が回ってたり、コーヒーはネスカフェだったりして、あまり偉そうな感じではない。対する闇の勢力の指導者も趣味の悪い部屋でゲームをやってたりして、これまたあまり金持ちには見えない。こんな二人が世界の命運を担ってるわけ〜?と思ってしまうところが、アメリカ映画にはないテイストだ。この辺は意図的らしく、90年代のいちばん貧しい頃のロシアを念頭に撮っていると解説でも言っていた。実際には、現在のモスクワは新興の裕福層が増えてきており、東京を抜いて世界でもっとも物価の高い町になっているらしい(NHK情報)。だが、監督は、金持ちはロシアもアメリカも変わらない、ロシアの新興の金持ちはまだ文化がないということで、金持ちはバッサリ切っちゃっているようだ。
こんな感じで、文化比較という点では面白いし、映像もかなり凝ったもの(英語の字幕まで凝ったものになっている)なのだが、やや説明不足なとこがあって、イマイチ脇役のキャラがつかめなかったりするのがちょっと気になるところだ。まあこの辺も演出のうちということで、続編に向けて謎を残しておきたいということらしいが、私の感じでは、あと30分長くして、もうちょっと脇役にも感情移入しやすくしたほうがよいと思う。まあ、この辺は続編を見てきめるべきことか?
あと、オマケが充実しているのがけっこうウレシイ。
まったく関係ないテレビシリーズ「プリズン・ブレイク」の第一話や、なんだかよく分からないアニメーション「BROKEN SAINTS」(有名なのか?)などが本編と同じディスクに収められている。まあこれはこれで面白いけど、どうでもよいこと。
ウレシイのは、ディスク2でにはメイキングやインタビュー、未公開シーン、そして続編「DAY WATCH」のスペクタクルシーンがてんこ盛りになっているということ。特に「DAY WATCH」紹介は、本編を公開するつもりがないんじゃ…と思うくらいの大盤振る舞い。
中でも、投げられたカラフルなボールが次々と分裂し、パーティ会場の人々をなぎ倒し、ビルや観覧車を破壊し、ついには都市が壊滅してしまう映像には驚愕した。シュールだけど、クレイモア地雷やクラスター爆弾の攻撃を連想させる。これだけでも一見の価値アリだ。
この中の未公開映像の解説で分かったのだけど、このDVDはアメリカ公開版で、ロシアで封切られたものとは異なるようだ。また、さっき説明不足と書いたけど未公開シーンの中には、登場人物のキャラクターを描いたようなシーンも多く、切らずに残しておいた方がよかったのではというものが多い。こうなるとロシア公開版やロングバージョンの発売が待たれるところだ(というか、ぜひ販売してくれ〜)。
投稿者:親方
at 05 :00| 映画
| コメント(0 )
| トラックバック(0 )